マンセンゴ.NET>50円の青春>「50円の青春」牌姿&思想研究

 名作麻雀劇画「50円の青春」全話レビューし、漫画で表現される闘牌シーンを何点かピックアップ。その延長線上に、低レート麻雀に対する作者の思想を読み解きます。

 東1局 下心のない風速(レート)  50円の青春度:★★★
 不意に渋谷の50円の雀荘「岡部」に足を踏み入れてしまった裏プロ・山川。風速を聞いてあきれるが、退屈しのぎに打つことにした。しかし対戦相手が本編の主人公の慶大生・鳴海と油井夏樹だった。油井は山川を挑発しまくる。「ビール!」と注文しても持ってこないマスター。もう1人の同卓者・渡部が答える。「酒を飲みながら打つのはフマジメだというコンセンサスが客にあるんですよ」追い討ちをかける油井「酒を飲むほど、ここの麻雀は甘かないぜ」点5という風速でボロ負けする山川。自分のホームグランド、風速ゆえに勝てたのではないかという命題を与えた2人は、ヒモ稼業をする山川の女の家を突き止め、再勝負を挑む。しかしヒモの山川には金はない。「借用書でいい」という条件で戦う。しかし、やはり山川は屈辱的大敗を喫する。負けを認めた言葉を山川が発した瞬間、3人は立ち去ろうとする。「金は払わないぜ」「いいですよ」麻雀をバクチとしか捉えられないバイニン相手に、麻雀の違いをみせつけることが彼らの「50円麻雀」の勝利だった。バブルに踊る当時の人たちの感覚の中で、金で得られない充足感を麻雀に求めようとする2人の物語が開始される!
 東2局 その時賭けの音が 50円の青春度:★★★★★
 「麻雀を教えて欲しい」という初老の紳士が「岡部」にやってきた。教師役を冷やかされながら油井に命じられ、教える鳴海。千駄ヶ谷で設計事務所を営んでいる磯村の顔色の悪さを気にする鳴海。初心者と囲むのは気乗りしない鳴海であったが、磯村は驚くべきスジの良さだった。鳴海は社会的地位のある、自分の位置が見える人が打つと、初心者といえども「いい麻雀」を打てることに気がつく。モラトリアムの渦中の鳴海はそんなところから麻雀荘の外での世界を垣間見た。磯村も初心者に大きなお金をかけるわけでもなく真剣に麻雀に接する2人の若者に好感を持ち、以後毎週「岡部」に顔を見せるようになった。ある日始めて国士無双をあがった磯村が「君たちと話がしたい」と飲みに誘うが、油井は「僕らはいい麻雀を打てる同士の付き合いでいいじゃないですか」とやんわりと断る。それ以降、磯村は「岡部」に姿を見せなかった。数ヵ月後、磯村の娘が「岡部」に鳴海と油井を訪ねてやってきて、父の死を報告する。そして磯村が若い友人が出来たと喜んでいたことを話す。磯村はここ数年心臓を患っていたが、万が一のこと(残される家族)のことを考え、手術に踏み切れずにいた。しかし、鳴海と油井に会わない間に手術を受けて結局失敗した。娘は家族から何度勧められても手術を断っていた磯村が、なぜ手術を受けてくれたのかの謎がときたかったのだ。それは油井、鳴海と囲んだ最後の麻雀で5枚から国士に向かった時、「これに成功したら手術を受けよう」と磯村が決意したに違いないと2人は話す。鳴海「俺たちはあの時、磯村さんの心臓の鼓動が聞こえてきたようなする」言葉を交わさずとも、2人は磯村の並々ならない決意を、あの麻雀に知らずに感じ取っていたのだった。麻雀でそんなことを賭けたと信じられない娘。鳴海心中(言葉で説明してもわからないだろう。あの時間を共有した者にしか!価値とはそういうものだ)
 磯村の四十九日の法要に出かけた2人は、50円玉を香典として包んで送るのだった・・・。
 東3局 口惜しさは麻雀で 50円の青春度:★★
 油井はとある泡姫・理沙に麻雀で勝ち、その代償として、おふざけで鳴海のアパートに直行して、「そこにいる油井という男と寝ろ」と指示する。泡姫は鳴海を油井と呼びながら寝る。しかし泡姫は自分の男に慶大生と寝たことを自慢してしまう。それを聞いた男が鳴海を殴りに来る。「お風呂で金を払ってやれば痛い目にすまずにすんだものを」といいながらボコボコにする。気がすまない鳴海はボクシングもやる、その男に「今度は俺の得意種目で」と麻雀での再戦を申し込む。デカピンでならOKを出す男。「セイガクがこのレートでやれるかな」ガレージセールで軍資金を捻出しようとする鳴海に油井がポンと40万円を渡す。自分がきっかけになったから金を出すのは自分だと、いうことで・・・。さすがにデカピンで打つだけあって、このチンピラ男は手ごわかった。しかし青春を麻雀に賭ける鳴海も負けられない。後半大物手を連発してあがり体勢を逆転させ、勝ちきった。
 金は油井が捻出したものだはなく、泡姫が鳴海を心配して供出した金であったことを明かす油井。「あんなチンピラほっておけばよかったじゃないか」油井の問いに答える鳴海「理由はどうあれ、俺は麻雀がらみであの女と寝た。だから麻雀では俺に足元も及ばないことをあいつに思い知らせてやりたかった。それが俺の50円麻雀なんだ」他で負けても麻雀だけは譲れない。どんな状況でも鳴海はこの勝負を受けずにいられなかったに違いない。
 東4局 画面の中の雀鬼 50円の青春度:★★★★
 ストーリーは前項で説明済み。この高校生と油井、鳴海の闘牌シーンをちょっと紹介しよう。1回目の時、鳴海がこのあがりっぷりのいい相手への牽制を含めて下記の手から二萬を温存する。
  ツモ ポン
 ドラ三萬。そして1筒引きと共に二萬を打つ。二萬に違和感を感じる油井。油井は二萬温存を姿の見えないもう1つの三元牌・發とドラのシャンポンと読む。鳴海はそういう読み違いを誘発するため二萬をあえて温存したのだった。先にタンピン三色をテンパイしていた高校生が無警戒に發を放った瞬間、硬直する2人。「どうかしましたか?」「なんでもないよ」。この打ち筋あたりから2人はこの高校生が対人の勝負は初めてであることを認識する。
 そして再戦の時、その相手の弱点を突く。まず鳴海がこの高校生・文彦からピンフイッツーをヤミで高目を和了る。そして、下の勝負手が文彦に入り、メンホンあがらずでバイマンから3倍マンを狙っていく。
  ツモ  打
 油井は下記の牌姿に中を引くと即リーチ。(ドラ四萬)
   ツモ  打 
 8索を引き、狙い通りとほくそ笑む文彦だったが、中が一発放銃となり、裏ものってバイマンとなってしまう。
 テンパイまでの仕上げ方、アガリの過程をみればほぼ完璧の文彦だったが、対「人」のゲームである認識が文彦にはなかったのである。鳴海や油井のような歴戦のフリー雀士は、人の顔色や間からわけなく対子落としを見抜き、あがるためには手段を選ばない方法で仕掛けてくるのである。画面の中にしか対戦相手を求めたことがなかった文彦は、初めて人間相手の麻雀の難しさと面白さを実感したに違いない。
 又、前項では紹介していなかったが、皆就職活動をする中、油井はなんと旅打ちに出ていた!旅打ちから帰ってきた油井と、三友銀行に内定が決まった男が丁度久々に雀荘で会って人生観をぶつけるシーンのやり取りあたりが、この劇画のスピリットというか真骨頂だろう。この回より舞台が「岡部」から「ビット」に移っている。「岡部」はスペイン坂の近くのようだが、「ビット」は東口方面だろうか?
 南場は次の機会に。 「50円の青春」を買う!→ 50円の青春 本体価格\520  

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