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 麻雀いつもいつも調子よければいいですよね。でも不調があるからこそ発見があるわけだし、その状態を疎かにしないから成長があると思うのです。不調に陥って「結局麻雀は運のゲームだから何をやってもダメ」と結論づけて、麻雀の伸びを止めている人は多いと思います。原因を追究しようとする姿勢すら見せない。もちろんだからこそ負け組が増えて、勝つ人は安定して勝てるのでしょうが。負ける人は結局何の進歩もないまま、無性に牌を握りたくなったために再び卓に着き、勝った負けた、ツイたツカない、強い弱いを繰り返していくのです。
麻雀は負けがあるものという前提で話を進めます。負けるにも負け方があります。負けの中にも自分の信念を貫き通して打ち続けることや、明日を見据えた実験的手筋のTRYなど、工夫次第で次につなげられるいいGAMEが出来るのです。
 さて調子が悪くなっていく段階で、その端緒ともいうべき局面を捕らえられるどうかが重要な鍵を握っていると思います。筆者は下記の手牌をもらいました。
            ツモ
手牌だけ見ればまさに「シャキーン」という音がしそうな激ツモですが、筆者的には一抹の不安を拭い去れないツモでした。東1局、ドラは字牌。半荘4回目でここまで展開TOP、展開TOP、ミスのあった3着という状況での4回目の東1局でした。ここが重要なんです。3着は悪い3着の取り方でした。展開TOPでの2連勝で3連勝のチャンスだったのです。それをうまく打てずに3着になってしまった。なんとしてもここはいい麻雀を打って流れをつかみたい4回目だったのです。筒子がかなり高い場になっていて筒子は間違いなく他家に色濃く入っている気配でした。高めの1筒もおそらく対子以上で持たれていて、3面張とはいえ安目が1,2枚ぐらいしか残っていない待ちなんじゃないだろうか？という半信半疑の2筒ツモでした。絶テンになる前に訪れる不意に手順を狂わす、甘い罠のようなツモ。これを（例えテンパイが入るツモでも）断固拒否できるようになる強い精神構造と的確な読みが入れられる雀力をキープしていなければダメという典型的事例です。
これ手牌だけ見て打つレベルでは喜んで1-4-7筒待ち即リーチですよ。しかしアガリは萬子にあると思っていたわけだから断固テンパイとらずに受けなければならなかったのです。テンパイにとってしまい、リーチをかけた筆者を嘲笑うかのごとく、ツモは三萬や六萬をつもってきます。下家もビシビシ四萬、六萬といった萬子をかぶせてきました。（筆者の捨て牌には萬子はリーチ宣言牌の五萬しかありません）下家はドラ東を４巡目にリリースしていて警戒しなければならない相手でした。おそらくその時点で手ごたえのある牌姿になっていたと思われます。結局対面の3連続ラスの親からリーチ、そして下家からも立て続けにリーチが入り、次の筆者のツモ8筒が下家のイッパツロン牌で678のタンピン三色の高目でした。（ハネゴ）
赤2枚自分が持っていてドラも切れているから、そうそうむかってこられない、負けても相手は安いなどの幻想を覆すハネマンでした。もちろんその後も手をつくしましたが、その半荘はトビで、ここからスランプに陥りました。
しかしこのスランプが教えてくれた、上の稿の赤字で記述した部分の注意事項。この発見や再確認が出来るのも、負けて手痛い仕打ちを受けてこそなんですよね。調子にのっている時は見えにくいもの、それが見えるのが負けてる時、不調時です。この時にいかに謙虚に麻雀と向き合えるか、それだけが麻雀を向上させることのできる鍵なような気がします。
劇画「天牌」が凄いなと思うのは、これ以上ないほどの雀力を有する最強キャラの黒沢さんの負ける描写を入れたりして、「麻雀って負けるから面白いのよ」というセリフを言わせることです。麻雀漫画のキャラクターは大体超越した力をクローズアップすることにかまけて、勝者の奢りとしかいえないようなセリフばかり吐かせるのが王道でしたが、この漫画のリアリティと良心は黒沢さんの存在です。黒沢さんほどの存在に負けさせて「今日は勉強させてもらったよ」とセリフを言わせるところが心憎いじゃありませんか。誰でも一時の勝利で天狗になるのは簡単です。しかし負けて謙虚になれる人は案外少ないのです。ここに勝ち組になれるヒントが隠されているのではないでしょうか。
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