1980年代後半。俗にいうバブルから崩壊期にあたる時代の流れの中で、麻雀のジャーナリズムも各出版社が麻雀漫画誌を発行することで全盛を迎えていたような気がします。筆者もちょうど麻雀を覚えたてで楽しくなりはじめていた時期でしたので、貪り読んだ記憶があります。漫画自体も今のような麻雀より背景に重きを置くものより、純粋に麻雀を深く描いた作品が多かったような気がします。
筆者は評論家でもなんでもないので、当時何誌出回っていたのかわかりませんが、恒常的に購入していた雑誌を紹介すると、現在も生き残り続ける近代麻雀三誌をはじめ、「麻雀ゴラク」「麻雀時代」「特選麻雀」「ガッツ麻雀」と7誌ぐらいあったような記憶が。「特選麻雀」と「ガッツ麻雀」はほとんど購入していませんでしたが、「麻雀ゴラク」と「麻雀時代」は毎月欠かさず購入しておりました。
この2誌は内容的にかなり充実していたような気がします。筆者はたまたまコンビニで麻雀の漫画を売ってることに気がついて手にしたクチなので、近代麻雀が最大手と気がつくまで時間がかかりました。むしろ「時代」と「ゴラク」が面白いなと感じてました。安藤満の存在を初めて知ったのは「麻雀時代」でしたし、金子正輝は「麻雀ゴラク」で初めて知りました。それぞれ戦術論を連載していました。
特に「麻雀ゴラク」を発行する日本文芸社は確か一時最高位戦のメインスポンサーか協賛みたいな立場になって、かなり詳しい観戦記が毎号載っていたことを記憶しております。書き手は鈴木知志か瀬田一輝あたりが執筆してました。「麻雀ゴラク」は名称からもわかるとおり、青年誌として人気のある「漫画ゴラク」の麻雀版であり、「天牌」も「麻雀ゴラク」が現存していれば間違いなくこちらで連載されていたと思われます。まあ一般青年誌に掲載されているから、あれだけ爆発的な人気を博しているとも思えますが。
筆者の不確かな記憶をグタグタ並べるより、偶然保存してある「麻雀時代」「麻雀ゴラク」「特選麻雀」の休刊号のラインナップを並べて、このような作家や連載があったことをお伝えしたいと思います。いずれも休刊号で勢いをまったく失っていた寂寥感のある構成であったことを念頭に置いてご覧ください。
「麻雀時代」(笠倉出版社:90年11月号)
ダッシュ:画/宮田やすひろ 作/伊月慶悟
勝負師の聖書(バイブル):画/森義一 作/志村祐次
コラム 安藤満の名人塾 恐いほど強くなる
テンパイカンちゃん(4コマ):よだひでき
新人王:画/村岡栄一 作/荒正義
ワイがロン牌や!!:かわぐちかいじ
サンシャイン麻美:作画/あさだ圭
銀ヤンマ:作画/福本伸行
阿佐ヶ谷すずめ組:作画/すぎやま皓
家庭麻雀教室:作/井出洋介 画/藤みき生
「特選麻雀」(芳文社:89年11月号)
バイニン'89:作画/一の瀬正 闘牌協力/ロッキー堀江
どぼん:原作/三田武詩 劇画/いつきたかし
雀狂伝:画/司敬&司プロダクション 作/吉田幸彦
気分はBaining:作画/RYO
麻雀甲子園:原作/宇治谷順 劇画/村上勝洋
カモネギ社員(4コマ):若山拳
コラム 灘麻太郎の実戦打法
コラム 荒正義の一刀両断
マンハッタン雀ブラー:和気一作 原作/成宮慶
春風にようこそ:作画/ 福本伸行
雀ブル家族(4コマ):古山こうじ
「麻雀ゴラク」(日本文芸社:95年2月号)
巻頭カラー:井出洋介最高位に,名将再び相見える(小島vs古川)
ぎらてん:作/うらの雅 画/しもさか保
コラム 井出洋介 必勝の条件
ぶっこむぜ!!(4コマ):かわにしよしと
BATTLE CITY:作/荒尾和彦 画/やぎさわ梨穂
コラム 点数計算の達人 狩野洋一
のばつまくなし:押川雲太郎
あいつ:作/一森純直 画/大場やす雄
最高位決定戦観戦記 文/瀬田一輝 画/渡辺素明
コラム 万事オレ流 徳久英人
魔雀:左近士諒
新鮮組:原作/原麻紀夫 作画/上田久治
劫の修羅:安藤満+のなかみのる
さすらいの雀鬼(4コマ):こだいらとおる
雀だこ日誌:みやはら啓一
ラインナップを見て気がつくのはコラムの担当者が今とあまり変わり映えしない面子であるということですかね。麻雀界はこの手の仕事はなかなかニューフェイスに仕事が回らない構造になっている模様です。雑誌自体の数が減っているので、当然といえば当然なのですが・・・。
個人的には「麻雀ゴラク」がかなり面白かったですね。特に絶頂期の頃の「50円の青春」「緑一荘」「ピン」etcはかなり本格的な麻雀漫画で、ある意味近代麻雀の漫画に劣らない質だったことと、最高位戦の情報など文章記事が充実していて読み応えがあったのを覚えております。
(50円の青春は単行本化されたような、されていないような不確かな記憶しか残っていないのですが・・・→その後「50円の青春」の単行本GET!詳細はこちら)
このようなシーンは2度とやってこないのでしょうが、「麻雀王」に「緑一荘」が再掲載されているのを見て、随分ノスタルジックな気分になってしまいました。
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