マンセンゴ.NET>勝ち組への転換>スジ対子に有機性をもたらす牌組



 さばきずらい牌姿というものに、その人の雀力を垣間見ることができます。快心のアガリをした時でさえも、その牌姿にそのツモをもらえば、誰でも最終形はそうなるという手が実は多いのですが、センスや定石の蓄積度・理解度が高い打ち手にしかこなせない手も存在します。
 かつて麻雀の理論でトビ対子やスジ対子などの牌姿を語るものがありました。スジ対子というのは、七対子を狙う時の残す牌として、自分が対子になっている牌の筋牌を残すのが、うまく重ねやすいというオカルトな格言です。たとえば6筒が対子になっている時は3筒や9筒が1枚あれば大事に抱えて、対子候補にしましょうということです。これは麻雀理論がまだ語られはじめの頃の典型的経験則から語られた定石(?)だと思うのですが、何も頼りになる指針のなかった七対子の手作りのガイドラインになっていた時期があったと思います。昨今は多少この辺での牌の残し方は参考になる打ち筋が提示されはじめ、このオカルト格言はやや風化しはじめています。

 しかし対子手に限らずスジが対子で入ると非常に厄介です。特に対子場というわけでもないのに、その色だけスジ対子で入ると、他家の手作りにも影響を与えます。3筒と6筒が対子で入れば4筒・5筒という塔子を持っているところはそこが最終形になる可能性も高いわけですから、スジ対子を持っている方はピンフ手を指向する際、どちらかの対子を崩すのはタイミングを見はからわないと放銃の憂き目にあいます。結局切るに切れずスジシャンポン待ちでリーチなんてよく見ます。
「待ちはどこだった?」「俺3・6筒」「俺も」流局してテンパイ形を見ると、かたや4筒,5筒と持った3-6筒リャンメン待ち。かたや3筒6筒のスジシャンポン待ちで両者痛み分けなんていう展開を実戦ではよく見かけます。
 3筒と6筒を持って、その間の牌を引かなければ、それもやむなしの形なんでしょうが、4筒、5筒を持っている、或いは引いたときの対応について考えてみましょう。334566という形(a図)は一見早く3か6を打ちたくなる衝動にかられる牌姿ですが、この複合形、面子を伸ばすにも絶好の形をしていることも認識しましょう。更にこの形、両対子の外側に1枚牌が繋がると、(テンパイが入った時に)2つの両面待ちを選択できる形となるのです。(b図)

 a  b

 2筒を切ると5-8筒。7筒を切ると1-4筒。場況に合わせて待ちを上下どちらかのスジを選択できる、あがりやすい形です。(もちろん、その反面アガリ逃しも生じやすいのですが・・・)スジでこのような対子が入って、それに連なるような場合、意識する形の1つといえるでしょう。
 2つの両面ではないのですが、やはりこのスジ対子を軸に三色とピンフのテンビンにかけ、筆者が実際にあがった実戦での形を紹介しましょう。

  ドラ

 一応状況説明すると、東1局にマンガンをあがった東2局西家の7巡目という状況。3筒あるいは1筒を切って萬子の両面とカン2索(orカン2筒)受けを残すシャンテンに取れますが、筆者は五萬を打ち、123の三色のシャンテンに受けました。2筒、2索はチーテンも取れるので、三-六萬先引きの際にカン2索役ナシ受けが残る形を嫌って行きました。8巡目、1筒を引き打四萬。9巡目7筒を引き打1筒。筒子は下図のような13345667という変則2-5-8受けを残しました。
 
 

 11巡目自力で2索を引き入れると、カン2筒待ちと5-8筒待ちの選択を取れる牌姿となりました。この段階で手ごたえをビンビン感じました。この時の対局ルールが赤5筒2枚入りルールだったので、拾い安い8筒受けと万が一のもう1枚の赤5筒のアガリも逃さないように、5-8筒待ちに取り、2枚8筒を切っている下家がすぐに8筒をツモ切って2,000点(+祝儀1枚)をあがれました。選択としてカン2筒受けのダマ5200、5-8筒待ちのピンフ赤1のリーチなども選択できる形となりました。
 これ9巡目に7筒を引いたので2筒、5-8筒の変則三面受けが残りましたが、たとえば5筒を引くと4-7筒・2筒の受けが残り、そのまま捌けば2筒引きの三色、4筒引きでのイーペイコの2つの手役が狙えるイーシャンテンの形となります。
 三色に拘泥せず三-六萬がいい受けであれば素直にカン2索を嫌っていく手順もあるでしょう。(最初の牌姿の際の、その時点での受け入れ枚数的にはカン2筒残しも、カン2索残しも一緒です。ただ上述のようにカン2筒受けを残すことは、スジ対子に連なる形の変化による発展性が見込めます。その分カン2筒受け残しは優位性がありますが、嫌ったカン2索の方を先にズバリ引くこともあるのが麻雀です。)もちろん、このあたりは臨機応変に使い分けましょう。

  前段での手牌推移で説明申し上げましたが、このスジ対子に間にシュンツが挟まった形は発展性が高く、受け入れの広い形をキープしつつ、多彩な手役を狙えるベースとなる形なので、安易に雀頭を早めに固定しない方が賢明でしょう。安全牌を残しがちな打ち手がどうしても、この発展性に着目できずにミスるケースが多いようです。たとえば前段の牌姿を例にとると、1筒を最初から持っていない形で後から引いてくる場合に、どうしても安全牌の方を残してしまうような手順です。下図のような例です。

   ツモ

 安全牌を残して、この1筒をツモ切りしてしまい、その後に2筒を引くと123のピンフ三色のテンパイ逃しとなってしまいます。5-8筒を先に引く可能性が高いし、ミスにならないケースもありますが、ずばり2筒を先に引いて一萬なんかをひけた場合は、かなりひどいですよね。本来(リーチをかけると)ハネマンをツモあがっているのに、安全牌を残したばかりに要約テンパイが入り、さらに5-8筒でアガれたとしてもハン数が落ちているという・・・。
 スジ対子に連なる牌の有機性を見落とさないように、 日頃からスジ対子に対する意識を過敏にして、どんなツモ巡のアヤにも惑わされない力強い牌形を築けるようになれば、三色・イーペイコといった手役をタンヤオやピンフといった基本手役に複合させられ、赤・裏と組み合わせれば、いとも簡単にハネマン・バイマンをあがれ、ご祝儀をも稼げる打ち手になれることでしょう。


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