「麻雀絶対に勝つ定石」 安藤満 (ごま書房)
はじめに
麻雀素質度適性検査
第一章 手役狙いの基本定石
麻雀エッセイ ●サルだった頃● 作家 鷺沢萠
第二章 リーチの定石
まんが ●観察記録● 臼倉若菜
第三章 赤あり麻雀の定石
麻雀エッセイ ●将棋と麻雀と運と実力● 棋士 先崎学
第四章 手順の定石
まんが ●みつるちゃんのこと● 吉野えつこ
第五章 攻めの定石
麻雀エッセイ ●それでもやめられない● エッセイスト 群ようこ
第六章 守りの定石
麻雀エッセイ ●亜空間な人● 銀玉親方こと山崎一夫
第七章 読みの定石
あとがき
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マンセンゴ.NET内で紹介している本の中には絶版に既になっているものや、そのオンラインショップで在庫切れになったりしていて、入手が困難になっている書籍が多い。その中でもこの「麻雀絶対に勝つ定石」は、人気プロ安藤満が著した本格的な戦術書ということで、強くなりたい人には願ってもないテキストだと思うのだがamazonでも常に「在庫切れ」状態。先日一時数冊入荷したようだが、あっという間に「在庫切れ」に戻ってしまっていた。そこで入手したい方は上のリンクを辿ってもらいたい。セブンイレブンで受け取ることによって、送料が無料になるイーエスブックス(注:現セブンネットショッピング)というオンライン書店で、出版社に在庫確認してからの取り寄せとなるので、多少時間がかかるが今なら手に入れられるようだ。そんなに刷っていないと思われるので早めに確保しておくのが賢明だと思います。さすがに度々増刷するほどではないと思うので・・。
この戦術書の価値は今まで長らくなあなあになっていた部分に、どっちの方が有利、というような見解を勇気を持って発表したところにある。麻雀の戦術書の流れとして、大時代的な自分の実戦譜で「たまたまうまくいった局面」をクローズアップすることによって、トッププロが自分の名声を確固たるものにすべく擬装していた時代が続いた。つまり戦術書というよりは自分のPR書の趣。その時代まで読者の立場からすると、麻雀覚えたての初心者向けの本しか、本当のノウハウ本はなかったのだ。たとえば、ある戦術書に「並びシャンポンは数牌同士のシャンポンの中では有利」とその真相も書かずに発表され、それを鵜呑みに痛い目を見た雀士は多いのはではないだろうか。90年代初頭、天野晴夫が「リーチ麻雀改革派」を出版することによって、これらの擬装を暴く。この戦術書の評価はこの稿の主旨ではないので差し控えさせていただくが、この時点で既存の書籍を全否定したのは壮挙であった。折りしも注目度の最も高いタイトル戦での結果を踏まえて、麻雀を取り上げるメディアが「プロ全否定宣言」を発表。この状況において危機感をもって対処し、この世間の一般的認識を覆すための活動を繰り広げたのが安藤満だった。そして安藤がある程度の実例と研究の成果を持って発表したのが同書だ。
一般愛好家のライターや出版社に否定されたプロ業界の沽券をかけて発表された書だったが、そういったシーンの中での刊行だっただけにやや注目度が低かったか。今、読み返してみても内容は色褪せてない。後に遺作となった「安藤満の麻雀・亜空間殺法」の最初の辺あたりは、この本と内容がかぶる。つまりセオリーについて書かれてあるのである。「なんだ、セオリー(常識)か」と言われる人は、この書に書かれてある、当たり前のことを本当に全部知っているのか。つまりセオリー、セオリーなんて言って本当のセオリーを発表した人は空前だったのだ。特に第一章は読んでいると眠くなってくるような内容だが、昨今の麻雀においてこれをマスターすれば、それだけであるレベルにまでたっせられる充実した内容だと思う。塔子選択の際の役立つ小ネタが満載だ。今まで喧伝されてきたものと逆の説を取っているものも結構ある。又、第三章ではいち早く赤ドラ入りの麻雀のセオリーを発表している。よくよく読むと安藤満が原作を担当している劇画などに、その考え(この本で発表された定石)が応用されている場面を多々見受ける。
各章末にマンガかエッセイが2ページ分ついているのだが、これが面白い。特に「観察日記」は最高。臼倉若菜が描く「ミツルくん」がカワイくて最高にオカシイ。これだけでも読む価値がある。まあそれは言いすぎだが、自分は定石を本当はよく知らないと思われる方は、手にとって見る価値はある本だ。
補足:二階堂姉妹が表紙絵の「麻雀絶対勝ち組」は、ほとんど「麻雀絶対に勝つ定石」の内容を網羅している復刻本に近いものですが、臼倉若菜のまんがやエッセイは載っておりません。
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